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『星の王子さま』講座が開かれました

  • logoport
  • 2016年3月14日
  • 読了時間: 3分

去る2月27日(土)の夕方、東京目白にある洋書輸入卸の「絵本の家」さんの直営店で、『星の王子さまフランス語辞典(以下『辞典』)』(2015年ジャパンタイムズ刊)の監修をしてくださった中田俊介さんによる『星の王子さま(以下『王子さま』)』についてのレクチャーが行われました。壁の棚いっぱいに並んだ洋書絵本に囲まれて、10人以上の受講者が中田さんのレクチャーに熱心に耳を傾けました。 レクチャーはまず、アラビア語版や韓国語版、ロシア語版など、普段目にすることのできない貴重な中田さんのコレクションの一部の披露から始まりました(写真)。アラビア語は、文字を右から左へと書くため、日本の縦書きの本と同じように、右から左へとページが進む作り。ロシア語版には、著者サンテグジュペリの挿絵に加えてたくさんのオリジナルの挿絵が描かれています! またフランス本国では、いくつものオック語方言版が出されているのだそうです。日本で言えば、例えば大阪弁や東北弁の『坊ちゃん』が出ている感じでしょうか。『王子さま』は聖書の次に多くの言語に翻訳されているのだそうですが、実際に各国語版を目にすると、この話がいかに世界中の人から愛されているのかを改めて感じます。 レクチャーの本題は、『辞典』でも中田さんがコラムで取り上げられた『王子さま』を読み解く際のキーワードについて。中田さんは、apprivoiser(飼いならす)やdouceur(快さ)、invisible(目に見えない)、temps(時)、responsable(責任のある)といった言葉を取り上げ、これらの言葉が『王子さま』の話全体の中でとても重要な意味を担いながら互いに関連し合うものとして使われているだけでなく、それらが子どもの価値観を代表するものとして、rapide(速い)、serieux(真面目な)などの大人の価値観を代表する言葉と対比的に用いられていること、またこれらの言葉は、『王子さま』とほぼ同時期に書かれた『戦う操縦士』や『人間の土地』といった作品の中にも、似た意味合いで登場していることを、具体的な例文を交えながら解説されました。これらの言葉を通して、サンテグジュペリがこの小さな作品に託そうとしたメッセージが、少しずつあぶり出されるようなレクチャーでした。 「大切なものは目に見えない」というのは『王子さま』の一番有名なフレーズですが、「真のつながりは時間をかけて少しずつ作り上げていくものだ」、王子さまにはそんなメッセージが託されていることを、このレクチャーから感じました。 つい急いで生きがちな日々にふと立ち止まるきっかけを与えるレクチャーをしてくださった中田さん、ありがとうございました! またこのレクチャーを開催し、素敵な会場を貸してくださった絵本の家さんにも深くお礼申し上げます。

 
 
 

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